建設業の2024年問題とは?施工管理の残業と人手不足を統計で
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先に、答え。
建設業の2024年問題は、2024年4月から建設業にも時間外労働の上限規制が適用されたことと、それに伴う人手と工期の課題です。技術者の月の平均残業が15時間未満の会社は、4年で37.2%から49.9%に増えました。
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この記事の目次
建設業の2024年問題とは? 2024年4月に適用された残業の上限
建設業の2024年問題は、2024年4月から建設業にも時間外労働の上限規制が適用されたことを指します。 一般の業種では2019年4月(中小企業は2020年4月)から適用されていましたが、建設業は5年間猶予されていました。厚生労働省は、建設業では災害の復旧・復興の事業を除き、上限規制が原則どおりに適用されると説明しています(厚生労働省)。
上限の中身は次のとおりです(労働基準法 第36条、労働基準法)。
- 原則: 36協定を結んで届け出たうえで、時間外労働は月45時間・年360時間まで。
- 特別条項(臨時の事情がある場合): 時間外労働は年720時間以内。月45時間を超えられるのは年6か月まで。
- 時間外と休日労働の合計: どの月も100時間未満、2〜6か月のどの平均でも80時間以内。災害の復旧・復興の事業では、この2つは適用されません。
「問題」と呼ばれるのは、上限の中で工事を終えるために、人を増やすか、工期を延ばすか、仕事の進め方を変える必要が出たためです。上限の決まりの細かい点と、2026年9月からの労働基準監督署の指導の見直しは、施工管理の残業にまとめました。
建設業の2024年問題の後、労働時間は減った? 4年の推移
記録された時間は、2024年から短くなりました。 建設業の一般労働者の月の総実労働時間は、2023年の168.9時間から2024年は166.1時間、2025年は164.3時間です。所定外労働時間(残業)は2024年に13.3時間と、前年より7.5%短くなりました(表1)。
表1 建設業の2024年問題の前後: 建設業の一般労働者の月の労働時間(2022〜2025年)
| 年 | 総実労働 時間 | 所定外 労働時間 | 出勤日数 |
|---|---|---|---|
| 2022年 | 168.4時間 | 14.6時間 | 20.3日 |
| 2023年 | 168.9時間 | 14.4時間 | 20.4日 |
| 2024年 | 166.1時間 | 13.3時間 | 20.1日 |
| 2025年 | 164.3時間 | 13.5時間 | 20.0日 |
| 全産業(2025年) | 160.5時間 | 13.2時間 | 19.2日 |
出典: 厚生労働省「毎月勤労統計調査」2022年分・2023年分・2024年分・2025年分結果確報 第2表 月間実労働時間及び出勤日数(事業所規模5人以上、一般労働者、全国。2025年分は2026年2月25日公表)。全産業は調査産業計。取得日 2026年11月1日。
※月平均の値です。2024年の所定外労働時間の前年比−7.5%、2025年の総実労働時間の前年比−1.1%は公表の値です。前年比は標本の入れ替えなどを調整して計算されるため、表の値どうしの差と一致しないことがあります。建設業で働く人全体(職人・事務を含む)の値で、施工管理だけの値ではありません。
表1から読めることは3つです。
- 下がったのは2024年から: 2022年と2023年は総実労働時間が168時間台でしたが、2024年に166.1時間、2025年に164.3時間になりました。12か月分に直すと、2023年は約2,027時間、2025年は約1,972時間です(表1の値×12、編集部の計算)。
- 残業は2025年に横ばい: 所定外労働時間は2024年に13.3時間に下がったあと、2025年は13.5時間(前年比+0.8%、公表の値)でした。
- まだ全産業より長い: 2025年の建設業は、全産業より総実労働時間が月3.8時間長く、出勤日数が月0.8日多くなっています(表1の値どうしの差)。差の多くは出勤日数の違いから来ていて、休みの数が課題として残っています。
建設業の2024年問題で、会社の残業はどう変わった? 技術者の4年の変化
技術者の月の平均残業が15時間未満の会社は、2022年度調査の37.2%から2025年度調査は49.9%に増えました。 繁忙期の最大残業が45時間以上の会社は、42.6%から18.7%に減っています(表2)。国土交通省が建設企業に毎年聞いている調査の値です。
表2 建設業の2024年問題の前後: 技術者の残業が少ない会社・多い会社の割合(会社の回答)
| 調査の年度 | 平均残業が 月15時間未満 | 最大残業が 月45時間以上 |
|---|---|---|
| 2022年度 | 37.2% | 42.6% |
| 2023年度 | 36.3% | 45.5% |
| 2024年度 | 42.9% | 37.0% |
| 2025年度 | 49.9% | 18.7% |
出典: 国土交通省「適正な工期設定等による働き方改革の推進に関する調査(令和7年度)」集計結果の項目 問1-20-1-1 月当たり平均残業時間(技術者)、問1-20-1-2 月当たり最大残業時間(技術者)。2025年度調査は令和8年1月1日現在、回答した建設企業1,459社。2022〜2024年度は同じ資料に載っている過去の調査の値。取得日 2026年11月1日。
※会社が答えた区分ごとの会社の割合です。最大残業の45時間以上は、45〜60時間・60〜80時間・80〜100時間・100時間以上の割合を編集部が足した値です(2025年度: 8.7%+6.6%+2.7%+0.7%=18.7%)。調査の年度ごとに回答した会社が違い(896〜1,665社)、同じ会社の変化ではありません。
最大残業が45時間以上の会社は、2023年度調査まで4割を超えていましたが、2025年度調査では2割を下回りました。平均残業より最大残業の変化が大きく、繁忙期の長い残業を上限の中に収める動きが数字に出ています。
ただし、会社の種類で差があります。2025年度調査で平均残業が15時間未満の会社は、完工高5,000万円未満で81.0%、完工高50億円以上で9.0%でした(同調査)。会社の種類ごとの残業と休日の差は、施工管理の残業と施工管理のホワイト企業で詳しく見ています。
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建設業の2024年問題の背景は? 就業者の減少と高齢化
建設業の就業者は、1997年の685万人から2025年は478万人に減りました。 55歳以上が36.6%、29歳以下が11.9%で、全産業より高齢の人の割合が高い業界です(表3)。少ない人数で同じ工事をこなすと、1人あたりの労働時間は長くなりやすく、上限規制の中で工事を回すことが課題になっています。
表3 建設業の2024年問題の背景: 建設業の就業者の推移と年齢
| 項目 | 1997年 | 2010年 | 2025年 |
|---|---|---|---|
| 建設業の就業者 | 685万人 | 504万人 | 478万人 |
| うち技術者 | 41万人 | 31万人 | 41万人 |
| うち技能者 | 455万人 | 331万人 | 296万人 |
| 55歳以上の割合(建設業) | — | — | 36.6% |
| 55歳以上の割合(全産業) | — | — | 32.8% |
| 29歳以下の割合(建設業) | — | — | 11.9% |
| 29歳以下の割合(全産業) | — | — | 17.0% |
出典: 国土交通省「参考資料集」(2026年4月3日)p.4「建設業就業者の現状」(総務省「労働力調査」の暦年平均をもとに国土交通省で作成)。全国。取得日 2026年11月1日。
※1997年は就業者が最も多かった年、2010年は建設投資が最も少なかった年として資料に載っている時点です。技術者・技能者のほかに、管理的職業・事務従事者などがいるため、内訳の合計は就業者と一致しません。
表3から分かるのは、減ったのは主に技能者(職人)で、技術者は2010年の31万人から2025年は41万人に戻っていることです。施工管理の人が増えても、現場で作業する人が減れば、工程を組む難しさは残ります。年代別に見た転職の考え方は、施工管理の40代の転職でも扱っています。
建設業の2024年問題で、法律は何が変わった? 2024年の建設業法の改正
2024年6月14日に、建設業法などを改正する法律(令和6年法律第49号)が公布されました。 国土交通省の資料では、建設業は他の産業より賃金が低く労働時間も長いため担い手の確保が難しいとして、処遇の改善、働き方改革、生産性の向上を柱にしています(国土交通省「参考資料集」 p.9〜11)。施工管理の働き方に関わるのは次の点です。
- 労務費の基準: 中央建設業審議会が「労務費に関する基準」を作り、2025年12月2日に実施が勧告されました。基準を著しく下回る労務費での見積りや、見積りの変更の依頼が禁止されます(建設業法 第20条)。
- 工期のダンピングの防止: 著しく短い工期での契約を、注文する側だけでなく、受注する側にも禁止しました。
- 現場の技術者の専任の合理化: カメラなどの遠隔の通信を使うことで、現場に専任で置く技術者の義務を合理化しました。国は現場の管理を効率化する指針を作ります。
- 処遇の確保: 建設業者に、働く人の知識・技能などの評価にもとづいて賃金を払うよう努める義務を課しました(建設業法 第25条の27)。
この資料では、改正の一部は2024年に施行済み、一部は2025年12月12日の施行です。条文は建設業法で確かめられます。法律が変わっても、応募先の会社で工期や人の配置がどう変わったかは会社ごとに違うので、次の節の質問で確かめてください。
建設業の2024年問題の後に施工管理で転職するなら、何を確かめる?
上限規制の後の実績を、数字で聞いてください。 表2のとおり、残業の多い会社は減りましたが、会社の種類で差が残っています。求人票の「平均残業時間」は会社全体の平均で、配属される現場の実績とは違うことがあります。面談では次の5つを聞くと比べやすくなります。
- 「2024年4月の前と後で、施工管理の月の残業の実績はどう変わりましたか。繁忙期の最大は何時間ですか。」
- 「36協定の特別条項は、月何時間・年何時間になっていますか。」(36協定は、働く人に知らせる決まりがあります。労働基準法 第106条)
- 「元請の工事で、4週8閉所の実績はどのくらいですか。」
- 「残業を減らすために、人を増やす・工期を見直す・書類を分担するなど、何を変えましたか。」
- 「勤怠はどう記録していますか。タイムカード・パソコンの記録・自己申告のどれですか。」(記録されない残業は、表1・表2の統計には入りません)
相談先は2社で比べます。同じ経歴を2社に見せると、提示される条件と残業の実績が相場どおりかが分かります。
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建設業の2024年問題でよくある質問
建設業の2024年問題とは、何ですか?
2024年4月から、建設業にも時間外労働の上限規制が適用されたことと、それに伴う人手や工期の課題を指す言葉です。一般の業種では2019年4月(中小企業は2020年4月)から適用されていましたが、建設業は5年間猶予されていました(厚生労働省)。災害の復旧・復興の事業を除き、上限は原則どおりに適用されます。
2024年4月から、建設業の残業の上限は何時間になりましたか?
原則は月45時間・年360時間です。臨時の事情がある場合の特別条項でも、時間外労働は年720時間以内、時間外と休日労働の合計は月100時間未満・2〜6か月平均80時間以内で、月45時間を超えられるのは年6か月までです(厚生労働省、労働基準法 第36条)。
2024年問題のあと、建設業の残業は減りましたか?
記録の上では減っています。建設業の一般労働者の月の所定外労働時間は、2022年14.6時間、2023年14.4時間、2024年13.3時間、2025年13.5時間でした(厚生労働省 毎月勤労統計調査)。会社の回答では、技術者の月の平均残業が15時間未満の会社が、2022年度調査の37.2%から2025年度調査の49.9%に増えました(国土交通省)。記録されない時間は、どちらの統計にも入りません。
建設業の人手不足は、どのくらい進んでいますか?
建設業の就業者は、1997年の685万人から2025年は478万人になりました。55歳以上が36.6%、29歳以下が11.9%で、全産業(32.8%・17.0%)より高齢の人の割合が高くなっています(国土交通省「参考資料集」2026年4月、総務省 労働力調査をもとに作成)。
2024年問題で、施工管理の転職は有利になりますか?
有利になるかを示す統計はありません。分かるのは、技術者の数が2010年の31万人から2025年は41万人に戻った一方、技能者は331万人から296万人に減ったことと、残業や休日の実績が会社の種類で大きく違うことです(国土交通省)。応募先には、上限規制のあとの残業と4週8閉所の実績を数字で聞いてください。
この記事の根拠・統計で分からないこと
結論の根拠を確認する
- 規制: 一般の業種より5年遅れて、2024年4月から原則月45時間・年360時間の上限が適用されました(厚生労働省)。
- 残業: 建設業の一般労働者の月の所定外労働時間は、2022年の14.6時間から2025年は13.5時間です(厚生労働省 毎月勤労統計調査)。
- 人手: 建設業の就業者は1997年の685万人から2025年は478万人に減り、55歳以上が36.6%です(国土交通省、総務省 労働力調査をもとに作成)。
この記事で分かること・分からないこと
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この記事の編集
建設のしごと選び 編集部(編集・ファクトチェック)
厚生労働省・国土交通省の公表資料と各社の公式情報をもとに記事を作っています。
出典: 厚生労働省「建設業・ドライバー・医師等の時間外労働の上限規制」「毎月勤労統計調査」2022〜2025年分確報 第2表、国土交通省「適正な工期設定等による働き方改革の推進に関する調査(令和7年度)」「参考資料集」(2026年4月3日)、労働基準法・建設業法、各社の公式サイト(取得日 2026年11月1日)
- 数値の時点
- 労働時間は2022〜2025年、会社の残業は2022〜2025年度調査(2025年度は2026年1月1日時点)、就業者は2025年
- ファクトチェック
- 2026年11月1日(出典11件。2026年11月1日に取得した原表(毎月勤労統計調査の確報 第2表のExcel 4年分、国土交通省の調査の集計結果PDF、参考資料集PDF)と厚生労働省のページで全数字を照合し、合計と差は原表の値から計算し直した(式は各表の注記)。出典11件。)
- 使用データの最新版
- 毎月勤労統計調査 2025年分確報(2026年2月25日公表)/国土交通省 働き方改革の推進に関する調査 令和7年度(2026年1月1日時点)/国土交通省 参考資料集(2026年4月3日)
- 次回更新の目安
- 毎月勤労統計調査: 年分確報は例年2月/国土交通省の調査: 次の年度の結果/労働力調査の年平均: 例年1月/各社の情報: 3か月ごとに公式ページを再確認
編集履歴
- 2026年11月1日: 公開(毎月勤労統計調査 2022〜2025年分、国土交通省 働き方改革の推進に関する調査 2022〜2025年度、同 参考資料集 2026年4月で作成)
出典一覧(11件)
- 厚生労働省「建設業・ドライバー・医師等の時間外労働の上限規制」
- 労働基準法(e-Gov法令検索)
- 厚生労働省「毎月勤労統計調査 2022年分結果確報」第2表 月間実労働時間及び出勤日数(事業所規模5人以上)
- 厚生労働省「毎月勤労統計調査 2023年分結果確報」第2表 月間実労働時間及び出勤日数(事業所規模5人以上)
- 厚生労働省「毎月勤労統計調査 2024年分結果確報」第2表 月間実労働時間及び出勤日数(事業所規模5人以上)
- 厚生労働省「毎月勤労統計調査 2025年分結果確報」第2表 月間実労働時間及び出勤日数(事業所規模5人以上)
- 国土交通省「適正な工期設定等による働き方改革の推進に関する調査(令和7年度)」集計結果(令和8年1月1日現在)
- 国土交通省「参考資料集」(令和8年4月3日)p.4 建設業就業者の現状(総務省「労働力調査」をもとに国土交通省で作成)
- 建設業法(e-Gov法令検索)
- ビルドジョブ 公式サイト・会社概要
- 建築転職 公式サイト・FAQ